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佐藤修(さとうおさむ)
コンセプト・デザイナー/プロデューサー。

株式会社 コンセプトワークショップ 代表。
一般社団法人 ストーリーテリング協会 代表理事。
コミュニティケア活動支援センター事務局長。

「コモンズの回復」をテーマに、企業、行政、NPOにおける「共創型変革プロジェクト」に関わりながら、それらをつないでいくことを目指している。

仕事に取り組む上で大切にしていること:問題解決の鍵はいつも現場にある/問題解決のためにみんなの知恵と汗を出し合うことが大切/問題解決や価値創造はわくわくするような楽しいこと/経営とは愛と慈しみ/小さな一歩から大きな物語は始まる
著書: 企業文化と広報 」(日本経済新聞社)「 文化がみの~れ物語 」(茨城新聞社)など。
ホームページ:「CWSコモンズ」http://homepage2.nifty.com/CWS/


これまでの主な実績

■企業デザイン

・関係会社設立構想/CI開発(大手商社)
・企業CI開発支援(物流会社,化学会社,エネルギー会社他)
・企業文化変革支援(商社,化学会社,OA機器会社,自動車メーカー他)
・企業戦略策定協力(広告代理店,化学会社,食品会社他)
・企業の社会活動研究協力(建設会社,山口県経営者協会他)
・ビジョン策定支援(食品会社,レジャー関連会社,外食企業他)
・新企業評価軸開発(出版社)
・社員意識調査(輸送会社,化学会社,食品会社他)
・企業内情報システム開発(化学会社,電気機器メーカー)

■事業デザイン

・流通戦略策定協力(家電メーカー)
・新規事業コンセプト提案(家電メーカー,食品会社他)
・商品開発支援(家電メーカー,化粧品メーカー,住宅メーカー,洗剤メーカー)
・通信衛星活用型サテライトフォーラム事業提案(シンクタンク)
・販売管理マニュアル作成(医療機材販売会社,化粧品会社)
・CATV番組企画提案及び番組制作協力(衛星チャンネル社)
・新マーケティング・チャネル開発構想(食品会社)  
・バーチャルモール評価(通信システム会社)
・事業戦略策定支援(化粧品会社,住宅メーカー)
・ベンチャー起業支援(健康食品,化粧品,環境調査他)

■地域デザイン

・佐世保市三川内陶芸の里構想策定
・美野里町総合計画策定
・西海文化研究会構想策定支援
・ナガサキ・デザイン・スクエア構想策定
・浪岡町商店街活性化プロジェクト協力
・行政体CI計画支援(長崎県,北九州市,松任市,山形市他)
・北九州市ホスピタリティ運動支援(北九州市観光協会)

■都市デザイン

・宮崎県某地区開発コンセプト企画(シンクタンク)
・多摩某地区開発コンセプト企画(デベロッパー)
・宇部市まちづくり活動協力(市民グループ)
・次世代集合住宅研究コーディネーション(建設会社)
・都市計画マスタープラン策定(美野里町)

■NPO支援

・コミュニティケア・ネットワーク活動(コミュニティケア活動支援センター)
・全国私立保育園経営支援活動(全国私立保育園連盟)
・チャレンジド自立支援活動(ふぁっとえばー活動)
・日本創新教育アクション会議ファシリテーター
・認知症予防ゲーム普及活動(NPO認知症予防ネット)
・自殺のない社会づくりネットワーク事務局
・日本子どもNPOセンター活動支援
・NPO活動支援プログラム事務局
・「みんなのゆる~いカフェ」ネットワーク活動

■生活デザイン

・新しい住まい方研究協力(シンクタンク)
・生活優先社会研究(シンクタンク)
・モデル保育システム研究(シンクタンク)
・次世代企業人研究会(新聞社)
・高齢者支援事業構想(シンクタンク)
・シニアネットワーク構想企画推進(経済広報センター)

■関係性のデザイン

・共創型コミュニケーション・システム構築への協力(企画会社)
・機関誌作成協力(シンクタンク,機器メーカー,生保会社ほか)
・コーポレート・コミュニケーション戦略策定支援(電機会社,OA機器会社他)
・会議,コンベンション企画プロデュース
・発想工房主宰(異質な人材の交流支援)

■イベント企画

・東京駅企業人シンポジウム企画/実施協力(広告代理店)
・全国まちづくり先進事例会議企画実施(山形市)
・CI発表イベント企画(化学会社)
・地域魅力発見隊(美野里町)
・住まい方シンポジウム(NPO)

■研修プログラム開発/実施

・新入社員研修(ホテル)
・意識変革共創型研修(自動車メーカー,化学会社,製薬会社他)
・経営幹部研究会(1990年度以降継続実施)
・北九州市新任課長研修(1995年度以降毎年実施)
・福島県管理者研修(2001年度)
・異業種交流研修(商社,北九州市,研修会社)
・ワークショップ(自治体,企業,NPO)
・財務戦略研修コース開発(ビジネススクール) 
・ライフデザイン研修開発(シンクタンク)
・生活者調査指導(化学会社)
・企業変革活動支援(たばこ会社,素材メーカー,物流会社,化学会社)

■行政関係

・対話型行政推進協力(国土交通省)
・コミュニケーション・マニュアル作成協力(横浜市)
・広聴委員会委員(横浜市)
・文化振興プラン策定委員会(相模原市)
・行政文化改革フォーラム(北九州市)
・職員意見調査(相模原市,山形市)
・市民意識調査(山形市,美野里町)
・下関国際総合センター企画委員会(山口県)
・総合計画策定委員(我孫子市,山口県)
・総合計画実現のための運動型プロジェクト(山形市)
・次世代都市計画マスタープラン検討(美野里町)
・住民主役の文化センター建設プロジェクト支援(小美玉市)
〔地域デザイン〕
・地域学活動支援(山梨学、相模原学他)

■組織デザイン

・リゾーム型クリエイティブ・ネットワーク組織開発研究(自主共同研究)
・次世代企業組織パラダイム開発(教育教材会社、シンクタンク)

■その他

・環境経営提言作成支援(日本能率協会)
・NPO事業評価基準作成協力(シンクタンク)
・留学生ネットワーキング活動
・個人インキュベーション支援活動
・山城経営研究所フォーラム・コーディネーター
・テレビ番組プロデュース/キャスター(「経営の心とみちを聴く」他)

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問題解決と、その後の発展の実例

実例1:山形市のまちづくり市民会議

市民会議の仕組みは平成9年度からスタートしたが、全く新しい試みであり、住民はもちろん市役所職員の理解を得ることも簡単ではないため、初年度は試行的にあらかじめテーマ(「馬見ケ崎川(市内を流れる川)を考える」など)を設定してメンバーを公募するという方法がとられた。公募に応じて、100名を超える住民の参加があった。

 運営についてはそれぞれかなりの紆余曲折があったようである。たとえば「馬見ケ崎川」については、環境か開発かなど議論の多いテーマであったため、意見の全く異なる人たちが同じ市民会議に集まり、当初は議論が混乱しがちだった。

環境派の意見は、河川敷で芋煮会などをやるのは環境破壊につながるので反対
開発派の意見は、芋煮会は対外的にも知られたイベントであり、大事にしたい

また、情報収集のために市役所職員とミーティングを持つこともあったが、最初は情報収集というよりも、行政批判や陳情の場のようになってしまったこともあった。

話しは平行線のように見えたが、佐藤修のファシリテーションにより、思いの奥にある本心を語り合う場が生まれた。お互いがなぜそのような意見を持つようになったのか、情報が共有でき、共感が生まれ、歩み寄りが起こった。集まりを重ねるにつれて、参加者の意識は変化していき、行政との関係も変わってきた。

そして対立していた住民が歩み寄り始めた。
大きな意見対立の中で、ほとんど接点がなかった2つのグループが、「まちづくり市民会議という仕組みの中で、一緒に話し合う場を持つことにより、相手の思いを知るができ、一緒になって、イベントや環境保全に取り組んでいく姿勢が生まれた。


 活動成果の発表会が翌年4月に行われ、市長や議員、市役所職員、住民など、あわせて200名を超える参加者があった。行政に対する辛辣な批判もあったが、全体的には非常に建設的な内容であり、また1年間の体験から市民会議そのものに対しても非常に高い評価が異口同音に出されたのが印象的だった。こうした場を通して、住民も行政も、共創の意味を実践的に学んでいったのである。

 2年目からまちづくり市民会議はテーマもメンバーも完全に自由となった。20近い市民会議が毎年成立し、代表者による連絡会も行われている。

  3年目には、市民会議に参加していた山形青年会議所のメンバーが中心になって地域づくりの全国会議を開催することになった。行政も市だけではなく、県、さらには国の出先機関の職員も巻き込み、住民と同じ目線で知恵と汗を出すという共創関係が成立した。

  3年目にはもうひとつ大きな事件があった。年度末に市長が交代することになったのだが、ここで特筆すべきことが起こった。まちづくり市民会議の代表者たちが自発的に集まり、市長が変わっても、共創の理念と市民会議の仕組みは継続していくことを働きかけていこうという合議がなされたのである。市民会議は住民主役とはいえ、行政が始めたものであり、行政の支援がなければ継続は難しい。そこで彼らは市役所の事務局にも声をかけて集まりをもったのである。そのせいどうかはともかく、市長は交代したが、共創プロジェクトもまちづくり市民会議も継続している。むしろ、新市長のもとで新しい展開に向けて共創の輪を広げようという動きが強まっている。

  あまり派手さはないが、そして必ずしも計画通り発展しているわけでもないが、共創を理念にした山形市の共創プロジェクトは、これからのまちづくり、あるいは自治体行政の新しいモデルに向かって漸進しているように思われる。

その他、共創型まちづくりのケースは、こちらをご覧ください。

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クリックでダウンロードできます。

Special Issue
NPO vol.17 に掲載されたSpecial Issueには
佐藤修の「目指すもの」が、わかりやすく紹介されています。

共に新しい価値を創っていく喜び

――まずは佐藤さんが主宰される会社、コンセプトワークショップについてお聞きしたいと思います。

 コンセプトワークショップ=CWSをつくったのは1989年です。その年の3月に、それまで勤めていた「東レ」を退社しました。CI( 企業イメージ確立戦略)の仕事に携わり、企業が社会に対してどうあるべきかなど考えてきたなかで、では自分のアイデンティティとは何なのかということに思い至りました。組織人としてやってきて25年目のことです。ここで生き方を変えてみたいと。

 会社を辞めた翌日、たまたま、地元である我孫子市の北口に駐輪場をつくるという住民の話し合いに参加しました。これが、行政や地域社会との出合いです。ずっと企業のなかにいたわたしにとっては、大きな違和感がありました。発想の起点や議論の進め方が、企業の世界とは違うのです。そこで現場ではどんなことが行われているのか知るために、全国に足を運びました。さまざまな分野の人たちと話すうちに、それぞれが問題意識を抱えながら、それぞれの世界に閉じこもりがちなことに気づくわけです。そういう人たちと一緒に問題を解決し、さらに何かを創っていく活動はできないかと、同年8月、CWSをたちあげました。

――CWSは『共創型カウンセリング会社』ということですが…

 1991年に、「マインド・ネットワーク」という本で、コラボレーションという言葉が紹介され、注目されるようになりました。これは協働と訳されることが多いのですが、大切なのは一緒に活動することではなく、一緒に新しい価値を創りだしていくことです。ですから私は「共創」という言葉を使っています。そして、クライアントや関係者と一緒になって、目指すべき新しいビジョンを創りだし、そこから問題を解決し、新しい価値を一緒に創りだすプロセスを楽しむという意味で、「共創型カウンセリング」と言っています。私の役割は、そうした状況を創りだし、支援していくことです。

コモンズ=「みんなのもの」をとりもどす

――会社の活動領域としての「コモンズの回復」ということについてうかがえれば

 今だんだん、みんなのもの、というのがなくなりつつあるように思います。
昔で言えば、鎮守の森とか、河川敷とか、入会地とか、みんなで使えるところがいろいろありましたが、それがなくなってきた。会社にしても、自分たちの会社、という意識がなくなってきています。町もそうです。もう一度、みんなのものという感覚を取り戻せば、町も企業もきっとよくなります。そのみんなのものを取り戻すプロジェクトが、コモンズの回復です。

発想の転換ですね。ベクトルの逆転。今まで、組織や制度からの発想だったものを、表情のある一人ひとりからの発想に変えてみる。すると今までとはまったく違った発想が生まれます。初めに制度があって、それにあてはめようとするから問題が発生するのです。介護保険制度にしても、学校の問題にしても。個人をベースにして、個人に合わせたみんなの組織をみんなで共創していく。それこそがコモンズです。

 一例として和歌山に『きのくに子ども村学園』というのがあります。ここでは、学校に子どもを合わせるのではなく、子どもに学校を合わせる。子どもに何をしたいかていねいに話を聞き、そしてカリキュラムを構成します。そうすることで、不登校、いじめなどの問題も起こらなくなったといいます。

 問題解決のかぎは、現場にあります。地域の問題であればまず住民が話し合うこと。行政から依頼された仕事では、わたしがプラ
ンナーとして外部から関わるのではなく、住民と一緒に考えます。

問題解決のためにみんなの知恵と汗を出し合う場づくりが大切です。
そのためには、人のつながりが大きな力になっていく時代です。介護の問題を抱えた一人の当事者が朝日新聞に送った「ケアプラン
を自分で立てよう」という一本の投稿から、その思いが同じ思いをもつ人につながり、『全国マイケアプラン・ネットワーク』というグループが生まれ、今では制度改定にも影響を持つようになった例もあります。

小さな一歩から大きな物語が始まる時代になったのです。代表の島村さんはケアプランを単なる介護プランではなく、自分の人生を考えることとしてとらえていますので、活動はさらに広がっています。個人の思いがつながっていくと大きなうねりになっていくのです。


表情をもった「人」と「人」とのつながり

――CWSのネットワークから生まれた、共創型プロジェクトのひとつが、コミュニティケア活動支援センター(コムケアセンター)という位置づけでいいのでしょうか。

はい。コムケアセンターは、2001年に、住友生命社会福祉事業団が実施する資金助成プログラムの実行事務局を受託する組織
として設立されました。資金助成だけでなく、さまざまな相談に取り組んでいます。

 キーワードのひとつ、大きな福祉というのは、コモンズにつながっています。それぞれが小さな世界で問題を抱え込んでいることが多いのですが、私たちの生活はさまざまな問題の複雑な絡み合いで成り立っています。ですから、例えば、子育ての団体が子供たちだけ見ていても限界があります。社会のあり方の問題として広くとらえて、みんなが自分の問題として共有すること、つながることで、解決策が見えてきます。そしてそれが、社会を安定させ豊かにしていきます。

――「つなぐ」ということがコムケア活動の理念ということですが

 近代産業は、つながりをこわすことで発展してきたといえます。企業は生産効率をあげるために、意味のあった仕事を単純な作業に分業化してきました。労働力を確保するために、労働者を地域や家庭から切り離してきました。また、市場拡大のためにも、つながりをこわしてきました。例えば地域社会とのつながりをこわすことで、警備保障というマーケットが生まれ、家事さえも主婦の手を離れて市場の対象になりました。その結果、たしかに便利にはなりました。

でも何か幸せじゃないことに10年ぐらい前からみんな気づき始めたのではないでしょうか。つながりはある意味うっとうしいものですが、問題が起きて初めて、その大切さに気づくのです。

 つながるといっても、組織と組織がつながるのではなく、そこに関わる「人」と「人」とがつながっていくことが大切です。組織は単に仕組みであって、主役はそこに参加している個人です。しかし、例えばNPOにしても、組織はりっぱになったのだけれど、当事者とそれを支援する側とのずれが出てきてしまったり、企業と同じように、効率を追求しているうちに、ただ忙しく、本当にやりたいことが見えなくなったりしている場合があるのではないでしょうか。活動そのものがとても大切なのですから、もっと楽しみながらやらなければこれまでの経済活動と同じようなものになってしまいかねません。

 NPOは個人が主役で、そのメンバーがみんなそれぞれの表情と意志を持っているところに価値があるのです。メンバーが組織に囲
い込まれることなく、生活の次元で広く社会と関わりながら、組織を活かしていく。個人を介して組織が社会に開かれていれば、組織の常識と社会の常識のずれは起こりにくいはずです。表情を持った個人が主役の組織だからこそ、壁にぶつかっている社会を変
革していくフロントランナーになれるのです。これまでの組織原理とは違うのです。

――ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)の活動が注目されつつあるようですが

 例えばスワンベーカリーは、障害者の働く場づくりの新しい事業モデルを示すことで、社会に大きな風を起しました。
また、アサザ基金の飯島さんは、霞ヶ浦の湖岸の植物の復元から始まり、仕事起こしや教育の問題に活動を広げ、さらには市民型公共事業のモデルを創りだしました。
盲ろう者の訪問マッサージ事業を展開している有限会社フォレスト・プラクティスの田辺さんも、社会起業家のひとりです。本当にやりたいことをつきつめていけば、仕組みは企業でもNPOでもなんでも多様でいいのです。

埋もれている資源を活性化し、社会的価値を創る。要するに、みんなにとって幸せな社会を創っていくことができればいいですね。

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